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夢の異邦人(エトランゼ)
第12章 旅の終わり
30分もしないうちに留美子は戻ってきた。
聞けば最寄りの駅に着いて電車に乗る寸前だったそうだ。
急いで戻ってきたのだろう
ハアハアと荒い呼吸をしながら汗をびっしょりかいていた。
「そんなに慌てなくてもよかったのに」
「ううん、早く課長に会いたかったんですもの」
そう言って義孝の胸に飛び込んできた。
『可愛い奴だな…』
ちょっとした火遊びのつもりが
ここまで惚れてしまうとは
義孝は思っても見なかった。
「汗だくじゃないか、シャワーを浴びるといい」
考えてみれば、昨夜に愛の行為を交わしてから
シャワーもしていなかった。
「あなたに洗ってもらいたいわ」
課長という呼称から「あなた」に変わっていた。
もはや不倫関係ではなく
純愛を勝ち取ったという留美子の意思表示だった。
「こっちへおいで」
義孝は手を引いて留美子をバスルームに案内した。
「脱がして…」
留美子が言わなくても自分の手で衣服を剥ぎ取るつもりだった。
素っ裸にするとバスルームの小窓から朝の陽光が射し込んでいて留美子の裸体を輝かせていた。
まだ20代の肌は朝の陽光を受けて
産毛までキラキラと輝かせていた。
「俺と結婚するとご両親に告げたら
さぞかしビックリするだろうな」
ふた回りもの年齢差があるのだから
留美子を嫁にすると言ってもまだまだ障害があることを自覚せずにはいられなかった。