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夢の異邦人(エトランゼ)
第12章 旅の終わり
。。。。。。。。。
この世界での浅香一家それぞれの時間が流れ始めていた。
義孝は愛人の留美子と情を交わし始めた頃、
娘の有紀はバッグを抱えて恋人の淳一の部屋に戻ってきた。
「おいおい…ホントに家を飛び出てきたのかい?」
ここで同棲すると言われたが
まさか実際に飛び込んでくるとは淳一は思っても見なかった。
「学校はどうするんだい?」
「もちろんこの部屋から登校するわ
高校だけは卒業しておきたいし」
「それはいいけど、生活費はどうするつもりだい?
俺のバイト代だけじゃ俺一人が暮らしていくのがやっとなんだぜ」
「私も自分の生活費と教育費ぐらいは自分で稼ぐわ」
まだまだ甘いなと淳一は思った。
数時間のバイトがいくらにもならないのを知らないのだろう。
「心配しないで、女の子は稼ぐ方法はいくらでもあるんだから」
淳一の不安そうな表情を読み取って有紀はそう言って笑いながら淳一の背中を叩いた。
「まさか風俗とか考えてないだろうね」
法を犯してまで有紀に稼いでもらおうとは思わなかった。
いざとなれば大学を中退してでも有紀との生活費を稼ぐつもりだった。
「体を売るつもりはないわ
だって、この体はあなただけのものなんだから」
まあ、どうにもならなくなったら
有紀を一旦家に戻ってもらえばいいか…
ならばその時が来るまで愛し合う時間を楽しめばいいか…
淳一は背後から有紀を抱き締めた。