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夢の異邦人(エトランゼ)
第12章 旅の終わり
「もう!バカ!!」
羞恥で顔を真っ赤にさせて
有紀は四つん這いの足をバタバタさせた。
その踵がものの見事に淳一のみぞおちにヒットした。
「うぐっ!」
これにはひとたまりもなかった。
逃がさないようにしっかりと抱いていた腰から
思わず手を離して己のみぞおちを押さえた。
その隙に有紀は体を起こして逃げてしまう。
「どこに行くんだよ!」
顔を歪めながら淳一は有紀に問いただした。
「トイレよ!あんたがアソコをしげきするもんだから朝のお通じがやってきたの!!」
捨て台詞を残して有紀がトイレにかけこんだ。
『屁って出るときに尻の穴があんなに開くんだなあ…』
皺しわが弛んで
放屁と共に襞(ひだ)がプルプルと震えて…
淳一は滅多に見ることのできない貴重な経験をしたと、一人でニンマリした。
放屁を顔にぶっかけられても怒りなどはない。
それどころか、これで正真正銘有紀の全てを知ったという実感に満足していた。
世の中をサドとマドの二種類に分けるとしたら
自分は完璧に前者だと思った。
有紀は多分後者だろう。
こんなにも相性が合うのは磁石のように
SとMが引き合っているに違いない。
そう思うと、いつかは有紀の体を緊縛したいと思った。
ややボリューミーな有紀の体は緊縛を施せば
なんとも言えないエロチックになるだろうなと
淳一は密かな野望を抱いた。
そうこうするうちに、ジャーという水音がして
静かにトイレのドアが開いた。