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夢の異邦人(エトランゼ)
第1章 夢の異邦人(エトランゼ)
『Tシャツねえ…』
この寒い時期に半そでとは…
そういえば、勤務している店員さんたちは
皆同じように、
胸に紺色で「BOOK’S ON」と書かれた
黄色のTシャツを着用していたっけ。
店舗内は暖房が行き届いているとはいえ、
多少の違和感を感じずにはいられなかったが、
これがこの店舗のユニフォームなのであろう、
とやかくは言えない。
有里は着ているトレーナーを脱ぎ、
Tシャツを着用した。
着てみて有里は驚いてしまった。
丈が異常に短いのだ。
おまけにピタッと体に密着して
体のラインが丸見えだ。
そういえばイベント時に
コンパニオンに着用させるものだと
大牟田は言っていたっけ。
いくら裾を引っ張ってみても、
おへそが丸出しなのだ。
まあいいか、
エプロンを着けるんだしと楽観しかけて
「はっ!」と気付いた。
今日は少しおしゃれして、
ローライズのジーンズを履いてきてしまっていた。
しゃがみこんで、
恐る恐る腰の後ろに手をやると、
やはりショーツが覗いている。
『ちょっとヤダ…どうしよう…』
戸惑っていると、
更衣室のドアを開き大牟田が入ってきた。
「早くしなさい。
まったくなにしているんですか」
「きゃっ!」
しゃがみこんでいる後ろ姿を
見られてしまった!
ますます大牟田という男が嫌いになった。