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夢の異邦人(エトランゼ)
第7章 白昼夢の終わりと始まり
「いや、しかし気を失ってるときに、
好きだとか愛してるだとか、
うわごとを言いながら身体をくねらせるなんて、
お前、欲求不満なんじゃないか?」
義孝は、はははと虚しく笑った。
「浅香さん、こんな怪我させておいて、
こんなことを言うのもなんですが・・・
体調が戻られましたら、
復職のことを考えておいてくださいませんか?」
店長の言葉を受けて、
義孝の顔色を伺ってみた。
「まあ・・・・有里が望むのなら・・・・」
義孝がやさしそうに笑った。
「あなた・・・ありがとう・・・」
小さな声で答えた。
じゃあ、我々はこれで。
そう言って店長と大牟田は
病室を退室していこうとした。
『え?大牟田さん・・・行ってしまうの?』
「ほんとにお騒がせしました」
今度は義孝が深々とおじぎした。
その隙をぬって、大牟田と見つめあった。
『愛してる』 大牟田の口元が
声にならない声を発したことを、
有里は、はっきりと見届けた。