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シャイニーストッキング
第18章 もつれるストッキング2      佐々木ゆかり
 17 ロッキー…(3)

「おぉ、キミが噂の新宿の『姫』かぁ?」
 初めて会った夜、ロッキーはそうわたしに声を゙掛けてきた…
 既にわたしは新宿のディスコ界隈ではそう呼ばれていたのだ。

 そしてまた…
「簡単にヤらせてくれるんだって?」
 そうも話してきた。

「え…」
 
 失礼な男…
 その瞬間そう思ったのだが、否定はしなかった、いや、否定できなかったのだ。

 だって…
 それはほぼ事実だったから。

 いや、正確にはあの頃は何人の男と寝ても、抱かれてもある程度の快感を感じるのだが…

 絶頂感、エクスタシー、つまりイクという体験だけが得られなく…

 ある意味、欲求不満、いや、フラストレーションを溜め込んでいて、絶頂感、エクスタシー、イクという快感を体験したくて…
 言い寄ってくる男と寝まくり、抱かれまくりしていたから。

 だから否定ができなかったのだ…
 だが一度寝た男とは二度は寝なかった。

 なぜなら、その頃のわたしは本当に絶頂感を求めて抱かれていたから、一度寝て絶頂感が得られなければわたしにとっての価値は無い…
 いや、ゼロといえたから。

 しかし、廻りの男達からしたらそんなわたしの思い、切望等は分かるはずもなく、いいや、理解できるわけもなく…

 ただ単に、おだて、持ち上げ、チヤホヤとすれば簡単にヤらせる女、軽い女…
 つまりはヤリマン女としても陰では云われていたのであった。

 今、思い返しても、本当に馬鹿で、間抜けで…
 正に『黒歴史』と云えたのである。

 そして…
 よく病気や妊娠等のトラブルにも巻き込まれなかったと今、思う。

 だから、彼、ロッキーに初めて声を掛けられ、そう揶揄されても…
 否定は出来なかったのだ。

 それにその声掛けで、どうせ、また、コイツも今までの男達と同じなんだろう…

 そう簡単に思えたから、軽くあしらおうと思っていたのであったのだが…

「なんかイキたくて堪らない顔してるなぁ…」

「え?」

 わたしの顔を見て、ズバリ、そう云ってきた、いや、言い当てたのだ。

「え、な、なんで?」

 何でわかるの?…
 とは、訊けなかったが、わたしはすかさず反応してしまったのである。

「いや、キミの『お姫さま』の顔見ればわかるさ」

「え?」

 そう、彼、ロッキーは、わたしを…
『お姫さま』と呼んだ…


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