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シャイニーストッキング
第18章 もつれるストッキング2      佐々木ゆかり
 18 ロッキー…(4)

「いや、キミの、あ、『お姫さま』の顔見ればわかるさ…」

「え?」

 そう、彼、ロッキーは、わたしを…
『お姫さま』と呼んだ。

「うん、そう、『お姫さま』はイキたくて…
 欲求不満で、堪らないって顔してるなぁ…」
 と、わたしに自らの顔を寄せてきて、そう囁いてきた。

「あ、え…あぁ…」
 わたしはズバリと言い当てられてしまい、反論、いや、その通り、みたいな顔をしたのだと思われる。

 だが、次の瞬間、一瞬、期待に膨らんだ想いは萎んでしまう…

「いいモノあるよ…
 吸わせてあげるから…
 天国にぶっ飛んじゃうぜ…」

「え…」

 いいモノ…

 吸わせて…

 ぶっ飛ぶ…

 それはつまりは…
 大麻、マリファナの事であり、それはあの当時のディスコ界隈では普通に手に入り、蔓延していた。
 そして、快楽、絶頂感、エクスタシーを求め、切望していたわたしは当然、いや、既に、使用してのキメセクも体験済みであったのだ。

 だが…
 そんなマリファナの催淫効果も、わたしには薄く、絶頂感は得られなかった。

 だから、そんなロッキーの言葉には期待外れな軽さを感じてしまい、そして、一瞬期待してしまったから余計に絶望感を強く感じてしまったのだ。

 そして…

 この男も変わらない、つまらない男なんだ…と。

「ふん、ガッカリだわ…」

 わたしは、そんなマリファナのキメセクなんてとっくに経験済み…
 と、そんな意味を込めて吐き捨てた。

 だがしかし…

「おっと待ちなよ『お姫さま』」

 そう彼は呟き、わたしの肩を抱き寄せ…

「そこら辺のガキが手に入る様なモノじゃなくてさぁ…
 モノホンの…
 最高級品なんだぜ…」
 と、耳元に口を寄せて、ロッキーは囁いてきたのだ。

「え…」

 そこら辺のガキ…
 わたしの心に彼のその言葉が引掛かる。

 そう、確かにわたしは…
 いや、わたしの廻りにいる、群がっている男達は皆…ガキ…ほぼ大学生の男達であった。

 いや、新宿のディスコ界隈で遊んでいる男達はほぼ大学生のガキかヤクザ崩れしか居ない…
 だからわたしはそれもイヤで、横浜、渋谷エリアに鞍替えしてきたのだ。

 そして、目の前にいるこの男ロッキーは…

 見た目、約30代の…

 遊び馴れた大人の男に見える。




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