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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4     律子とゆかり
 35 自虐の想い

 ジャーーー…
 髪を洗い流しながら、さっきの自分の昂ぶりの想いを卑下し、いや、自虐していた。

 なぜならさっき…
『必死に前に進んでるのはえつだけじゃなくって、ひ、姫、あ、ゆ、ゆかりさんもですから…』
 そう云ってくれたわたしに対する優しく思いやりのある言葉なのに、一気に昨夜のあの禁断の昂ぶりを思い浮かべてしまうというこの自分の想いが…
 あの伊藤さんの澄んで慈しみのある透明な目を見た瞬間に、自身のイヤらしく、下品極まりないメスの心を自覚したからである。

 それはまるでわたし一人で昨夜の禁断の昂ぶりの快感をまた今夜も求め、期待しているみたいに感じるから…
 そう、わたしがイヤらしいだけなんだと。

 昨夜のあの昂ぶりを嫌だイヤだと必死に抗い、言い訳を自分にしているだけで本当はまた今夜も伊藤さんの温もりと快感を求めているんだ…
 と、さっきのあの澄んだ目を見てそう思い、そんな自分の穢らわしさと汚らわしさを感じてしまっていた。

 そしてその卑下した想いは…
『あ、ゆ、ゆかりさんもお疲れでしょうから、後片付けはわたしがしますから、どうぞシャワーを、うん、お先に寝てください…』
 そんな彼女の言葉からも余計に強く感じてしまう。

 なんてイヤらしいんだろうか…
 嫌だ、イヤだなんてのはウソで、本当は秘かに期待しているだけのくせに。

 自分一人が過去の過ちを、あの黒歴史といえる思い、想いを抱えているつもりでいるだけなんだ…
 卑下は自虐へと変わってきていた。

 伊藤さんだって、いや、敦子だって、きっと色々な過去を抱えていてのあの昨夜の昂ぶりに違いないのに…
 それをわたしは昨夜の事を禁断の快感の昂ぶりとでしか見ていないんだわ。

 わたしは敦子の優しさと慈しみからの思いやりを履き違えているんだわ…
 シャワーで洗い流しながら、そう卑下し、自虐していた。

 できる事ならばこの汚い心までをも洗い流したい…
 
 そう…
 わたしはさっきの敦子のあの澄んだ目を見て彼女からの慈しみのある愛情を感じとり、そして、自分のまずは快感ありきなメスの衝動の思いを卑下し、自虐してしまっていたのである。

 ガチャ……

 だが…

 ジャーーーーー……

 流れ落ちてくるシャワーの激しい水流の音に混じり、浴室のドアの開く微かな音が聞こえた気がした…




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