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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4     律子とゆかり
 168 小さな燻り…

 おそらくは、この松本副社長派閥に敵対している幾つかの派閥からは間違いなくそう見られているのには間違いはない…
 それに律子という存在観が私の後ろ盾としての絶対的な立場と正当性を保障しているともいえるのだから。

 つまりは、この入江人事部長にはそんな私の疑心暗鬼は杞憂な想いであるのだろうといえる…

 そんな想いを巡らせ、そして律子の目をチラと再確認しても…
 おそらく律子も私と同じ想いの色を見せているようであった。

「入江くん、今夜この後何か用事あるかな?」
 そして私は…
「できればメシでもどうかな?
 それに夜の部に山崎専務に銀座を誘われているからついでに一緒ににさ…」
 と、餌まきのつもりで誘ってみる。

 夜の銀座はウソなのであるが、どうせ山崎専務は例のクラブ『ヘーラー』には毎晩の様に通っているから、そこは後付けでどうにでもなるのだ…

「あ、はい、喜んでお供させてください」
 その入江くんの様子には…
 どうやら全くのウラはないようである。

「あ、じゃぁ、松下くん、どこか食事の店を見繕ってくれよ」

「はい、わかりました」
 そう返事をしてきた律子にも、どうやら私のこの想いからの誘いに対しては異論はないようであった。

 そう、私は、この入江くんという存在をブレーンの一人として欲しくなったのだ…

 私のまだ奥深くにしまってある、いや、まだ眠っているであろう小さな燻りの為に…




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