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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 19 答え…

「ああっ、ヤバいぃっ」
 
「え、何?」
 敦子が、驚きの声で問う。

「あぁ、ストッキングを忘れたぁ…」

「なぁんだぁ、そんなことかぁ」

「替えのパンツはぁ、たくさん持って来たんだけどぉ…」
 越前屋さんは、相変わらずだ。

「まぁ、いいかぁ、別に穿かなくてもぉ…
 それにぃ、蒸れて、暑いしぃ…」

 すると…

「え、ダメよ、穿かなくちゃ」
 敦子が、そう言ってきた。

「え、そうなのぉ」

「そうよ、女はねぇ、ストッキングまでが正装なんだからね…
 それに、社会人OLの身嗜みだし…」

「ええ、でもぉ、蒸れるしぃ…」

「もう、えつはホント馬鹿ねぇ、素足でスーツ系のスカート履いてみなよ」

「え…」

「脚が触れてるところが、ベタベタになっちゃうからぁ」

「あ…」

「それに、素脚でヒール履くの?
 汗でヤバいし、臭くなっちゃうからね」

「あ、そうか…」

「それに、ほら、今夜は、お座敷でしょ…
 ベタベタ、臭くていいのかなぁ?」

「あ、ヤダぁ…」

 わたしは、そんな敦子の話しを聞いて、感心してしまう…

「それに、脚は、ストッキングはさぁ…
 女の武器なんだからね…
 ねえ、ゆかり室長…」

「え、あ、まぁ…」
 そしてわたしは、突然、そう振られて、ドキっとしてしまう。

「そんな臭い脚でさぁ…
 今夜、大原常務に会ってもいいのかなぁ」

「あ…ダメ…イヤ…」
 越前屋さんは、即座に反応する。

「………」
 そして、その、突然の、彼の名前に…
 わたしも、反応してしまう。

 いや…
 一瞬、鼓動が、高鳴ってしまった。

「………」

 だって、その時、敦子は…
 わたしの目を、逸らずに見つめ、名前を言ってきたから…

 まるで、試すみたいに―――


 そして、その言葉のウラが…

 こぼれ、はみ出した、何かの、答え―――

 やはり、昨夜、敦子だって…
 揺れていたんだ。

 あぁ、そうか…
 まだ、終わってはいない。

 わたしを愛してくれているからこその…

「だから、えつ、ちゃんとしなくちゃ、ダメだからねぇ」
 
「うん、あっちん、分かったぁ…」

 それは、わたしへの、慈しみの言葉…

 それとも―――

 敦子は、逸らずに、わたしを見つめてくる。

 わたしは、まだ…

 答えを、決めきれない―――


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