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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 58 蒼井美冴(2)

 心の奥底で、秘かに蠢く暗い翳の想い…
 それはまだ、自分でもよく分かってはいない…
 ただ、それは、昨夜からずうっと、心の奥底で、何かが、蠢き続けているのだ。

 ただ、まだ、その正体は分からない――

「じゃ、そういう事で、この後よろしくね」
 わたしはそう言って、ゆかりさんの席へと向かう。

 そして…
「ねぇ、健太さん」
「はい…」
 彼を呼び…

「ねぇ、後でちゃんと訳を話すからさぁ…
 わたしと松下さんは二次会には行かないからね…」

「え、あ、は、はい」
 健太はバカではない…
 すかさず何かを察してくれ、そう頷いてくれる。

「あとね…
 ゆかりさんもね、こっそり消えるからね」

「え……あ、は、はぁ…」
 それには戸惑いの色を浮かべたのだが…
 敢えて理由を訊かずに…

「だから、健太さんに、上手くまとめてほしいのよ」

「あ…は、はい……わ、わかりました……」
 この時点では、健太に訳など想像もできないであろうが…
 すかさずわたしの目を見て察し、頷いてくれた。

「ありがとう…後で連絡するからね、よろしくお願いね…」

「はい、了解です」

 そして、わたしは、目配せでゆかりさんを呼び…

「ゆかりさんはこの後、シラッと消えて…」

「え?」

「うん、彼の処に行って……」

「え、彼の処って?」

「あ、それは…ゆかりさんに任せるけどね…」

「え…あ、う、うん…」

 わたしは、敢えて、全部を話さなかった…

「任せるわ……」
 そう…
 敢えて、中途半端に告げたのだ。

 だって、この後の事は…
 二人だけの問題であるから。

 それに、この意味が分からなければ、それはそれで、わたしには構わない事だから――

「……あ、うん…ありがとう……」
 だけど、ゆかりさんは分かったのか…
 そう、言ってきた。

「うん、好きに…して……」

 それでもわたしは、全部を告げられなかった…
 いや、それは、わたしの中の…
 蠢く暗い翳が、言わせないようにしているのかもしれない。

「…………」
 
「…………」

 わたしとゆかりさんは、見つめ合う――

「ではぁ、宴もたけなわですがぁ、そろそろお時間となりましたぁ…」

 健太の声が…
 わたしをフッと、我に還してきた。


 
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