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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 63 嫌なオンナ…

 わたしは自ら、彼の手を掴み…
 勝手知ったる部屋の廊下を進み、ベッドルームへと向かう。

 玄関を過ぎ、ドレスルームと浴室を通り過ぎ、リビングの戸を開け…
 無意識に、目が動き…

「相変わらずに、綺麗になってるわね」

「あ、うん、そう、今日は金曜日だから、昼間家政婦さんが入ったしな…」

「あ…そうか」
 そう彼は、月、水、金曜日の週三日、家政婦を頼んでいた。

「喉が渇いちゃった…」 
 そして、そう言って冷蔵庫を物色する。

「あ、やっぱりビールしかないか」

「あ、あぁ…」
 これも、家政婦さんが定期的に買い足してくれているそう…

「ま、ビールでいいかな… 
 あなた、あ、浩一さんも飲むでしょう?」
 二本手に取り、一本手渡す。

 そして、また、グルリと、無意識に、部屋を見回してしまう…

 それは、まるで、部屋のチェック、粗探しの様――

 オンナの影があるか、ないか、無意識に目だけが反応してしまう…

「あぁ…」

「うん?」

「ううん、何でもないわ、行きましょう…」
 そして、また手を掴み、ベッドルームのドアを開き…

「………」

 今度は、その瞬間、無意識に…
 目と…
 鼻を利かせてしまう、自分に気付く――

 それは、玄関ドアを開けた時と同じ…
 無意識からの、シャネルの残り香の探索。

「ぁぁ……」
 わたしは、ドアを開けた瞬間…
 そう、小さく、自己嫌悪の想いに呻いてしまった。

「うん、ゆかり、どうした?」
 彼はそう呟き、背中を押し、ベッドへと導いてくる。

「え…あ、なん…あ、ううん、あなた、浩一さんの匂いがする……」

「え、そうかなぁ、家政婦さんが掃除してくれてるから、そんなこ…あ……」

 わたしはその瞬間、彼に抱き付き、唇を寄せていく…

 それは、誤魔化しの……キス。

 そう、偽りの…

 嘘の…

 いいわけの…

 こうして無意識に部屋をチェックし、オンナの…

 ううん…

 松下秘書の、痕跡を探ってしまう…

 嫌な、イヤな、オンナである自分自身を誤魔化す為の…

 偽り、嘘の………キス。

「ううん、浩一さんの…甘い匂いがする…」

「ゆ、ゆかり…」

 彼の手が…
 ゆっくりと、わたしを抱いてくる。

 その手にも…

 なんとなく、違和感を感じてしまう――




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