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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 68 見えない隙間…

「あぁ、ねぇ、抱いて…愛して……」
 わたしは舌を貪り、ストッキング脚を絡めながら、そう囁く。

 奥が疼き、熱い…
 この昂ぶりは、今まで浩一さんに感じていたままの、欲情の衝動――

 敦子や、美冴さんとの衝動とは違う…

 そして、今までの様に、彼の匂いに包まれ、蕩けていくわたし……

 そもそも…
 一昨日の、常務室での松下秘書と対峙するまでは、わたしの心は…
 彼に対する想いは、少しも揺らいではいなかった筈。

 僅か、この二日間で、少し、ズレただけなんだ…
 いや、その筈なんだ。

 それに、ただの思い過ごし、勘違い、間違いなだけなのかもしれないし…

「ゆ、ゆかりぃ…」

「あ、あぁ、こ、浩一さぁん…」

 彼は、唇を吸い、舌先を貪り、肩を強く抱き締め…
 ゆっくりと、大好きであるはずのストッキング脚を撫で、愛でてくる。

 大好きであるはずのストッキング脚を…

 そう、そもそも、松下秘書のあのストッキング脚が、あまりにも美しく、魅惑的だから…

 それに、あのシャネルの芳香…

 やっぱり、あのシャネルの残り香の違いも、ただの偶然、わたしの思い過ごしに決まっているんだわ…

 だって…

 だって…

「あ、ゆ、ゆかりぃ…」

「ぁぁ、んん……」
 彼の指先が、ゆっくりとストッキング脚を撫で、愛でてくる。

 そして、唇が離れ…
 顔を下ろし、脚へと寄せてくる。

「あ、ん、や……」

 ストッキングを愛されるのは、久しぶり…

 敦子は、ストッキング脚に対しては、なんら拘りは感じられず…

 拘って愛してくるのは、美冴さんと、彼、浩一さん…

「あっ」

 わたしは、思わず声を漏らしてしまう…

「ん、ど、どうした?」

「え、あ、ん、な、何でも…ない……」

「そ、そうかぁ、うん、ゆかりのこの脚は、堪らないよぉ…」

「………」

 やはり、もう一人の俯瞰するわたしが…
 彼と、美冴さんと、敦子の三人を無意識に比べてしまっていた。

 わたしはビアンではない筈なのに――

 見えない、心の隙間…
  浩一さんと、わたしの間に感じている、僅かな想いのズレの綻び――

 そして、昨夜、敦子に抱かれ、愛され、慰められた時に感じた…
 果たして、心の中に…
 浩一さんの入る余地があるのかという、疑惑の、心の余白――


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