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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 70 大原浩一(3)

 実は、私は内心、怖くて、戸惑い…
 そして、少し焦っていた――

 今夜、こうしてゆかりが、私に逢いに着た、いや、来てくれた…
 だけど、それは…
 昨日の、正にゆかりと律子の対峙といえた時の、あまりにも情けない私の狼狽えからにより、自ら告げてしまったかの様な…
 律子との関係の露見。

 あの時の、ゆかりの哀しそうな顔…
 美冴の呆れ返った表情…
 そして、さっきの宴会場で見せた、ゆかりの絶望的な目――

 それらを鑑みれば…
 間違いなく、ゆかりに律子との関係を詰問されるに決まっている――

 そして、それは…
 昨夜の美冴から伝えられ、そして、さっきの宴会場でも云われた…
『後は自分で何とか頑張りなさい…』
 という言葉で、ある程度の覚悟は決めていたのだが――

 なぜか…
 ゆかりは、それ等の事を、詰問どころか、一向に触れてはこないのだ。

 それが、怖さと戸惑いを生んでいた――
 
『あの秘書は、何なのよっ』
『あんなオンナとっ』
 私は、ゆかりに、そんな勢いで詰められ、責められたかった、いや、覚悟をしていた、いいや、そんな罵声を浴びた方が、却って開き直れた筈なのである…
 だけど、ゆかりは、一向に、まったく触れてさえこない。

 それが怖かった――
 
 逆に、昨日からの事なんて全く無かったかのように…
 それはまるで、美冴に強く嫉妬していたあの頃の様な雰囲気を醸し出し…
 逆に、私に甘え、寄り添ってくる様な感じを見せてきていたのだ。

 そしてそれが、私を戸惑わせてもきた…
 いや、どうして良いのか、わからなくなっていた――

 だけどゆかりは、まるで何も無かったかの様に…
 一昨日と同じ様に私に甘え、唇を求めてくる。

 それが、怖くて、戸惑うばかりであったのだ――

 そしてゆかりは…

 部屋に入り、自ら進んでベッドルームへと私を導き…
『抱いて、愛して欲しいの…』
 と、甘えてまできたのである。

 だが…
 なんとなく、それまでのゆかりの目には、私への、今迄見せてきたような慈愛の色が、なんとなく感じられなかったのだが…
 
 ビールの口移しから…
 一気に、欲情の艶を露にしてきた。

 どうしてよいのか、訳がわからない…

 ただ、私は、戸惑うばかり――



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