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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 74 大好きな…

 まだ、私の心には、彼の愛の入る余地が、あったみたい―――
 
「ね、ねぇ、は、早くぅ、欲しいの………」

 ビリビリ…
 わたしは自ら、ストッキングのマチ部を破り、広げていく――

 早く、浩一さんが欲しい…
 早く挿入れて…
 まずは、カラダの隙間を埋めて欲しい。

 そう…
 まずは、挿入れて欲しかったのだ。

 それは、余計な言葉を、会話を、しないためにも…

 だって、わたしは、本当に…
 松下秘書との事実を…
 訊きたくは、いや、知りたくはないから。

 事実なんて、今更もう知りたくはない――

 それよりも、今、ううん…
 明日からの事が…

 これからの、彼と二人の事が…
 また、今迄みたいに、一緒に歩き、高見に進んで行きたいから――

 だって、つい二日前までは…
 何も疑いも、疑問も、疑惑も、揺らぎもなかった筈なのに…
 だから、今更、知りたくはない――

 シャネルの芳香…
 それは、ただの偶然にしか過ぎない…
 だって今時、誰だってシャネルの香水なんか持っているんだから。

 No.18、No.19…
普通にお洒落な女達は、皆、揃えて持っている。

 そもそもが、夜の銀座のお姉さんが、一流商社の常務秘書に転身できるなんて…
 あまりにも、荒唐無稽なお話しだから。

 リアリティがなさ過ぎるから――

 だから、松下秘書との関係は…
 やっぱり、ただの浮気…
 いつものほんの浮気…
 彼、浩一さんはモテる男なんだから…

 ただの浮気の、浮いた話に過ぎない――

 そんなモテる男の彼女の、宿命に過ぎないんだから―

 だから、今更、本当の話しなんて…
 くだらない言い訳なんて…
 訊きたくも、話したくもない――
 
「さぁ、早くぅ…」

 だからわたしは、自らの爪先で、ストッキングを破き…
 浩一さんを求め…
 まずは、カラダの隙間を埋めて欲しいの。

 だって、心の隙間には入る余地があるのがわかったのだから…

 そして、敦子を…
 敦子の存在感を…
 隅に、追いやって欲しい――

 わたしは…
「さぁ、早くぅ…」

 自らの、ストッキング脚を…
 彼の大好きなストッキング脚を持ち上げ…
 その爪先を…
 浩一さんの顔に、寄せていく。

 だって、浩一さんは、ストッキングの爪先も、大好きなんだから――
 

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