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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 87 大原浩一(11)

「さぁ、感じさせてよぉ…」
 ゆかりは、何ともいえない艶やかな目を光らせ、そのカタチのよい爪先を伸ばしてきた。

「あぁ、うん…」
 私はそう頷き、ストッキング脚の爪先を両手で掴み…
 ジィッと見つめる。

 そのストッキング脚は、さっきゆかり自身、自ら股間を引き裂いたせいからの、数本の細かい伝線のスジが走っていた…

「………」

「さぁ…」
 その数本の伝線は、まるで、ゆかりの迷いを表しているみたいに感じる…
 それらが、このストッキングの伝線に表れているみたいであった。

 それは、昨日の私の無様な醜態が生んだことに違いないなく…
 全ては私の甘さのせい…
 それがこうして、ゆかりを苦悩させてしまっているのだ。

 そして…
『アナタは疲れてるのかもしれないけど、わたしは、中途半端のままなんだから…
 さぁ、舐めて、感じさせてよ……』
 このゆかりの言葉に、通じているのだと思われ――

 とにかく、全ては、私が悪いのだ…
 私は、そう逡巡しながら、脚先見つめ、ゆっくりとストッキング脚の爪先を唇に含んでいく。

「あ、あぁ…」
 ゆかりの爪先が、ビクんと小さく震え…
 喘ぎを、漏らしてくる。

 だが、私には、そのゆかりの喘ぎが、なんとなく…
 白々しい声音に聞こえてしまっていた。

「ゆ、ゆかりぃ…」
 そして、私も、感極まったフリの…
 呟きを、吐いてしまう。

 フリ…
 そう、今夜の私にはどうしても…
 今までみたいに、昂ぶり切れないでいたのだ。

 そして、また、この伝線による、一本、一本のナイロン繊維のほつれた、小さなほころびのスジが…
 舌先に違和感として感じられてしまっていたのである。

 美冴や律子は、この伝線に己を投影したかの様に、苦悩したのだが…
 ゆかりは、自ら破り、私を求めてきた。

 そもそもが、あの二人とは、ストッキングに対する価値観や想い入れが違うのだ――

 たまたま昨日、それを知り、実感しただけであり…
 この私のフェチな想い入れとは、根本的に違う訳であり…
 また、身に付け、装うオンナと…
 あくまで見て、愛でるだけのオトコとの…
 違いがあるのも分かってはいる。
 
 いや、つもりでもあるのだが――


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