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シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング 1
 32 後ろ姿

 私は『スカイラウンジ』に、約束した時間よりも約20分程遅れて到着した。
 タクシーが緊急工事の渋滞にハマってしまい、遅れてしまったのであった。
 そして待たせてしまったと慌ててバーのドアを通りカウンターを見ると、そこにはシャンパンゴールドのスーツを着たゆかりの美しい後ろ姿が私の目に入ってきたのである。
 
 なぜかその後ろ姿に私は見とれてしまい、そして待たせてしまったという想いと、裏切りの罪悪感が湧いてきたのである。
 だが、やはり、その罪悪感の類いは、腹をくくり、開き直ったせいもあるのか昨日の昼間の想いよりもかなり軽くなっていたのだ…
 だが、なんとなくゆかりの顔を見づらい想いがあったのである。

 しかしいつまでも黙って立っている訳にもいかない…
 私は声を掛けた。


「待たせて悪かった…」
 そう声を掛けたのである。

「いえ、そんなに待っていませんよ」
 するとゆかりは先の電話から感じた様子とは違い、落ち着いた感じでそう応えてきたのだ。
 だがその反面、顔には満面に笑みを浮かべていたのである。

 いい笑顔だ…

 そんなゆかりの満面の笑みに私も思わずつられそうであったのだ。

「ワイルドターキーをロックで…」      
 そして私はカウンターに座るなり注文をし、ゆかりの顔を覗う。
 
「おっ、意外にスッキリした顔だなぁ…」
 もっと疲れ気味かなと思っていたよ…
 思わずゆかりの顔を見て言った。

「なんか昨夜良く眠れたんです」
 ゆかりはそうにこやかに言ってきたのだ。

「そうなのか、実は私も久しぶりに熟睡できて…」
 10時間も眠れたんだよ…
 思わずそう話したのである。

「色々とお疲れでしょうし…」
 そのゆかりの言葉は、なんとなく皮肉に聞こえてきたた。

「えっ、いや、ゆかり程ではないさ」

 これは本音である…

「あっ、そういえば昨夜、笠原主任と…」
 笠原主任と女二人で横浜中華街で食事をして色々話してきたんだ…
 と、ゆかりは語り始めたのだ。

 そうか、笠原響子主任とか…

「そうなのか、なんか楽し気だなぁ」
 実際には、私には、そんなゆかりと笠原主任との組み合わせが意外な組み合わせに感じられたのであった。


 果たしてこの二人には、共通の接点等あるのだろうか…






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