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シャイニーストッキング
第10章 絡まるストッキング4      和哉と美冴1
 54 5年前、あれから…(40)

 それは裏を返せば、それだけ僕を好きで、愛してくれているんだ…
 と、実感できたんです。

 だから、だから…
 分かっていますからっ…

「分かっていますからっ、自分を醜いとか、汚いなんて責めないでくださいっ…」

 ああ…

「ああ…かずや…」
 和哉は全部を分かってくれている、いや、分かってくれていたのだ。
 
 やはり和哉はいつの間にかに、いや、初めから大人だったのかもしれない…

「かずやぁ…」
 わたしは涙が溢れてきていた。

 まるでわたしの方が子供じゃないか…

 和哉は初めから分かっていたのだ…

 初めから覚悟をしてわたしに相対してくれていたのだ。

 ああ、なんてことだ…

「あ、うぅ、かずやぁ、和哉、わたし、わたし…」
 わたしは和哉に抱き付いていく。

「あなたを、和哉を、愛している…」

 ついに、ついに、愛を、愛していると言葉に出してしまった。
 言わずにはいられなかったのだ。
 言うことで、言葉に出すことで、心にけじめがつくような気がしたのである。
 そしてむしゃぶりつくように和哉の唇を求め、キスをした。
 その和哉の顔はわたしの涙でぐしょ濡れになっていく。

 だが、愛すれば愛する程に、求めれば求める程に、ますますお互いの想いは苦しくなる矛盾の渦に堕ちていくのである。
 
 だが、しかし…

 このお互いの心の慟哭の激白により、わたし達は完全に開き直れたのだ。
 そして先の見えない、必ず終わるこの関係に、既に終わりのカウントダウンの始まりに、完全に開き直れたのである。

 やはり和哉は、聡明な、大人の男であったのだ…

 いや、わたしと連日のこの濃密な関わりにより、大人の男へと進化をしたのである…

 そして、もしかしたらわたしはこの和哉の大人の男としての、性の確立にも重く関わってしまったのかもしれない…
 と、その時そう思った。

 だってわたし達は初めからストッキングラブな関係から始まったのだから…
 そしてそれは決してノーマルではないのである。

 和哉の顔を見てそんなことを考えていた…
 そしてそれは裏を返せば、わたしはようやく開き直れたという事でもあったのだ。

 もう、ぐずぐず悩まない…

 もう、戸惑わない…

 ただ一つだけ。

 和哉をノーマルに戻したい…



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