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胡蝶の夢
第8章 夢
一体いつの記憶だろう。
いつの間にか遠くなって、毎日に埋もれてしまっていた。
圭の顔が笑う。
彼にはいつも笑顔というイメージがある。
そして白。
よく好んで薄い色の服を着ていた。
今にも壊れて消えてしまわないかと心配になる様な、儚げな人だった。
今から思えば、きっと彼はあの頃から病弱だったのだ。
きっと、草原を走るなんて事も本当はいけなかったに違いない。
それでも彼は疲れた顔ひとつ見せずに、むしろ僕が転ばないか案じてくれる様な人なのだった。
「圭、見て!!」
遠くを指差す僕は圭の視線をさらう。
小高い丘になっているその場所からは辺りの様子がよく窺えた。
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