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胡蝶の夢
第8章  夢 





僕の顔を覗きこみながら、黒崎はその手を前に持っていく。


後ろを散々かき回されたというのに、その乱暴な扱いにも僕の身体は反応するらしい。


起立した部分を擦り上げられて黒崎の腕で呻いた。



「うぁっ…」



かろうじて目を開けて黒崎の様子を窺う。



「どうして……」



どうしてこうなってしまったんだろう?


徐々に顔が歪むのを上から無表情に黒崎が見ている。



「…理由なんて無い」



静かに響いた。


なんだか黒崎がおかしかった。


思い出したかの様にボソリと言うその言葉はいつもの横暴な支配者的態度ではなく、僕が問うた質問のちゃんと答えになっていた。


だっていつもならば、「お前に関係ない」とか「知る必要はない」とか良いそうだから。


黒崎までもが調子を崩される程に、僕達二人にとって圭とはそういう存在だった。


死して幾年経った今も、圭は僕達の中で生きている。









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