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胡蝶の夢
第9章 華

「直弥様、自室へ行かれますか?」
頑なに俺と目を合わせない様にしているメイド達の間を抜けて部屋を出ると、扉の脇に寛継【ひろつぐ】が控えていた。
寛継は使用人の一人で、俺の事をはじめて迎えに来たのはコイツだ。
「あぁ、部屋に行く…」
「はい」
「…なに見てんだよ」
嬉しそうに寛継がこちらを見ている。
「いえ、初めて答えて下さいましたね」
そういえば、今まで完全に無視していたのについ答えてしまった。
変な奴だ。
皆俺に話しかけるどころか、目も合わせないのに。
俺はメデューサか。
目を合わせたところでどうなる訳でもない。
「怒っていらっしゃいます?」
「いや…」
嘘だ。
さっきの食事の件で機嫌はすこぶる悪い。
「眉間にシワが寄ってますよ」
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