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胡蝶の夢
第9章 華

ぐりぐりと眉間を指で押された。
「笑顔です」
ニマァと笑いながら寛継が顔を傾けている。
手本のつもりか?
こんな馴れ馴れしい使用人がいていいのか?
「うるさい」
呆れて俺が歩き出すと、寛継は何も言わず、おとなしく後について来ている様子だった。
部屋の前まで来ると使用人らしく機敏に扉を開ける。
「どうぞ…」
どこまで付いて来るつもりだ。
後ろ手に扉を閉めてやろうと思ったけれど、上手く滑り込まれて入室を許してしまった。
「なんのつもり?」
「はい、今日から直弥様付きになりましたのでよろしくお願いいたします」
腰を折って頭を下げる寛継。
やっぱりコイツは変わり者だ。
誰も見向きもしない貧相な二男の専属なんて。
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