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胡蝶の夢
第9章 華

強くなるためには、上に登らなくてはならない。
大切なものを守るためには、優位に立たなくてはならない。
自分の存在を知らしめて、名を聞くだけで誰もが恐れおののく様な、そんな存在に。
支配される側ではない。
支配する側だ。
支配しなければ支配される。
だから支配される前に支配する。
弱いものは淘汰されるから、誰よりも強く揺るがない存在に。
この俺が奪われるだけで終わるはずがない。
終わらせはしない。
寛継の胸の痣を見て思う。
痛々しい傷跡。
俺に加担した事への制裁かも知れない。
快く承諾したなんて嘘だったのだ。
きっと何か無理な条件を出したに違いない。
肌の色がこんなになるくらいに、人をいたぶる事の出来る相手…。
「いつか俺は、親父の座を奪う…」
憎しみが沸々と湧いた。
この復讐をいつか果たそう。
外から微かな笑い声がする。
きっと圭と瑞貴とか言うさっきの男の子だ。
窓から煌々と朝日が射している。
どうしてこうも違うのだろう。
あっちはあんなに明るい光なのに、どうして俺はいつも影の中にいるんだ…。
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