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胡蝶の夢
第3章 深淵

僕は跪き、アイツの靴を舐めた。
注ぎ込んだ額の大きさを感じさせる高級な革の靴。
「くくっ……この汚いドブ犬が」
僕を辱め、貶めて楽しんでいるのだ。
名家で大切に育った温室の花をグシャグシャに踏み付けるのがアイツの趣味なのだ。
上から降り注ぐ高笑いが僕の自尊心をさらにズタズタにした。
あの獣の様な声をあげる少女たちの檻の中にも、見知った顔を見つけた。
どの少女も黒崎財閥にはとうに及ばずながらも、そこそこの裕福な家庭で育った者たちだ。
落ち目がちな企業の娘が多いのは、ここへ監禁された理由が僕と同じ理由だからだろう。
「もっと顔を近づけて、すみまで舐めまわせよ」
顔を上げなくともわかる。
頭上にニンマリと優越の笑みを浮かべる気配がする。
「俺は綺麗なものが好きだ…それは男だろうが奴隷だろうが関係無い…、そして、美しいものを汚すのはもっと好きだ…」
くくっ…
嘲笑。
「気高く美しいものを汚して、穢して、蹂躙するのが楽しくて仕方がない」
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