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胡蝶の夢
第3章 深淵

こんなに気持ち悪いのに、こんなに嫌なのに、こんなに恨めしいのに…。
紛れもなく、痛めつけられるだけだった行為に快感が伴っていた。
むしろ、今は中途半端にじらされる事の方が辛い。
なぞらう指が遠退く度に疼く。
空気の動きがわかるくらい。
もっと…。
冷たい夜風が吹き込んでいる。
言葉を呑み込む。
「っ……」
もっと…。
唇を噛む。
「俺にどうされたい?」
答えを知っているからこそ質問する。
体が強ばり、脚がわななく。
「……っと」
「あぁ?聞こえないな」
言ってはいけない…。
「もっと……」
楽になりたい。
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