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胡蝶の夢
第3章 深淵

つうと擽る様な仕草をしては僕の反応を見て笑む。
「さて…、その通りにしてやるかどうかは俺の気分次第だな……?」
苦しい。
楽になりたい。
思考が欲望に塗れて歯止めが効かない。
黒崎はしばらく考え込む様なわざとらしい演技をした後、おもむろに僕の大腿を撫でた。
黒崎の膝の下に踏みつけにされていた脚から圧迫が消え、代わりに冷たい手のひらが這う。
どうしてこいつの手のひらはいつだってそんなに冷たいんだ。
熱くなった体に鮮明に映える。
「足上げろよ」
応える間もなくすでに黒崎が膝を抱いて持ち上げている。
僕が足掻こうと求めようと、所詮、紡がれる未来は黒崎の手の内なのだ。
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