この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
胡蝶の夢
第4章  檻 



床に崩れ落ちた。


このまま地面に溶けて消えてゆけたらいい。


それが出来ないならせめて、僕以外のものの全てを醜く染めて欲しい。


そうしたら、醜いものたちの中で僕は埋もれ、沈んでいく。


この世に存在するものが全て漆黒だったなら、この世に光なんて灯らなかっただろう。


灯す必要がないから。


区別する要素さえはじめからなかったなら、優劣などつけようがない。


そうだ…。


染まれ…。


みんな黒に染まれ…。


ダンッ


冷えた床を叩いた。


少しづつ日が昇って来た。


夜が白けて窓から洩れる光が伸びる。


それはいつの間にか忍び寄り、僕の背中まで届いていた。


ダンッ


叩いても、ただ拳が痛むだけだ。


軋む身体が揺らぐ。


太陽は残酷だ。


何もかも照らしだす。


転がっていた万年筆に手を伸ばし、そっと引き寄せた。


母の形見の品。


それが僕を抉り苦しめたそれであっても、捨てることなど出来ない。


眠気に全てを委ね、意識を底に沈めた。


ズブズブと沈んでいく。




.
/168ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ