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胡蝶の夢
第4章 檻
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目が覚めると、真っ白なシーツの上にいた。
ふかふかのベッドに沈んでいる。
…ここは?
知らない天井だった。
ただ真っ白なだけの天井。
見回すと全部白い。
部屋にある何もかもが白く統一されている。
何もかもと言ってもベッドと明かりとクローゼットと窓、あと部屋の隅に大きな白い箱が置いてあるのみ。
黒いグランドピアノはそこには無かった。
夢?
……夢だったのか?
起き上がろうと身体に力を込めると、あちこちがツキリと傷んだ。
「痛っ…」
枕元に置いてあったのか、動いた拍子に転がって何かが頬に当たった。
銀細工の万年筆。
……夢じゃ無い。
誰かの手によって身体の汚れはすべて清められているけれど、それでも…。
僕の汚れは取れない。
僕は僕自身を許せない。
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