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胡蝶の夢
第6章  腐蝕 





「貴様はここから出られない」



身長よりも高く吊りあげられてなお僕よりも高い場所に顔のある黒崎は、やはり僕を見下していた。



「手首が痛いっ…」



「そんなもの知ったことか」



ふっと鼻で笑う。


わかってない。


手首からもぎ取られてしまいそうなこの痛みを。



「俺の腰に乗せてやろうか?」



意地悪く笑う。



「…は?」



どういう意味か容易に想像出来た。


昨日の夜を思い出してゾッとする。


口腔を犯す苦い味。


ギギギィィィ


聞き苦しい音がして、おぞましいあの箱が開く。


真っ白い部屋の真っ白な箱。





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