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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第2章 私は推しが好きすぎる
 取引先は電車をいくつも乗り継いだ場所。都内から近くはないけれど、然程離れているわけでもない。だから先輩と夕飯を共にした後は、そのまま直帰する予定だった。
 けれど、聞き上手で話し上手な先輩との食事会は、レストランを出た後も物足りなさを感じるくらい楽しくて。まだまだ話し足りなかった私達は、帰宅せずに2件目の居酒屋へと移動した。この時はまだ、空は晴れていたはずだ。
 そして───22時を回った頃に外に出てみれば、それまでとは打って変わって、酷い悪天候に変わり果てていた。
 しかも急な豪雨で電車は運転見合わせ中。最終バスは既に過ぎていたし、アルコールを摂取するかもしれないと考えて、車は家に置いてきてしまった。残りの交通手段はタクシーのみだけど、乗車料金のことを考えたら頭が痛くなる。できればこの案は避けたい。
 だったらもう、ビジネスホテルに泊まってしまえばいいんじゃないか───なんて考えは、やっぱり甘かったようで。なんでも地元で大きなイベントがあるらしく、それ目当てで全国から人が集まっているらしい。
 どのホテルに問い合わせても、『本日は満室となっております』という返答しか返ってこない。思えば立ち寄った居酒屋でも、平日の割には客で混み合っていた気がする。そんなに人気なイベントなのかと興味が頭をもたげたけれど、今は先に考えなきゃいけないことがある。
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