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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第2章 私は推しが好きすぎる
 内心は、言ってしまった……と後悔してるけど後の祭り。口から出た言葉はもう取り消せないし、後にも引けなくなってしまった。先輩後輩の関係性が壊れてしまうことを恐れて、咄嗟に発してしまった主張は───どうやら先輩はお気に召さなかったようで。眉間に深く皺を寄せて、険しい表情を浮かべている。
「……先輩の方こそ、嫌じゃないんですか?」
 やっぱり、私とラブホに行くなんて嫌なんだろうな───彼が不機嫌になった本当の理由にも気付けず、私は勝手にそう思い込んでショックを受けている。私にだって一応、女としてのプライドはあるんだから。嫌がられたらさすがに傷付く。
「………、嫌じゃないよ」
「今、変な間がありましたよ」
「気のせいだよ」
「……やっぱり私、漫喫の方に泊まります」
「待って、ごめんごめん。とりあえずさ、俺の意見聞いてくれる?」
 彼の表情が緩み、茶化し合う会話に場が和らぐ。いつもの空気感に警戒心が薄れ、私はコクンと頷いた。
「まず此処から離れよう。このままじゃ2人とも風邪ひきそうだし、先にホテルへ移動しよう。いいよね?」
「……はい」
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