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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第3章 今更気付いてももう遅い
恋愛を拒絶していた胸に、温かくも懐かしい輝きが戻る。それは過去にも経験したことのある、思春期のような恋心に似ていた。
ただの推しでしかなかった人を、異性として意識してしまった衝撃はそれなりに大きかったけれど、意識したからといって何かが変わるわけでもなく、変えるつもりも全くない。自分でも気づかずうちに芽生えていたこの想いは、胸の奥に秘めたまま、先輩には告げないつもりでいる。これ以上の関係なんて、私は望んでいないから。
そうだ。恋愛なんてしたい子だけがすればいい。恋愛も彼氏も今の私には必要ない。そもそも想いを打ち明けたところで、玉砕するのは目に見えている。あえて傷つく未来を選択する必要はない。
……とは言ったものの、恋愛というのは理屈で説明できないもの。恋を拒んだからといって恋に落ちないわけじゃないし、彼氏がほしいからといって恋ができるわけじゃない。そして一番厄介なのは、諦めようと思って諦められるものじゃないことだ。たとえ報われる見込みがない恋だとしても、一度宿った感情の火は、そう簡単に踏み消すことはできないから。
つくづく思う。恋愛ほど面倒な感情はないと。
「……いつから好きになっちゃったのかな」
記憶を遡ってみても、いつから、なんて明確な答えは出てこない。当然だ、答えが出るなら当に恋心を自覚できていたはず。今まで理不尽な恋ばかり経験してきた私には───……もう二度と不毛な恋愛をしたくないと思うばかりに、感情にセーブを掛けていたのかもしれない。彼は"推し"だの何だのと言い訳して、自分の気持ちから目を逸らし続けてきたんだ。
ただの推しでしかなかった人を、異性として意識してしまった衝撃はそれなりに大きかったけれど、意識したからといって何かが変わるわけでもなく、変えるつもりも全くない。自分でも気づかずうちに芽生えていたこの想いは、胸の奥に秘めたまま、先輩には告げないつもりでいる。これ以上の関係なんて、私は望んでいないから。
そうだ。恋愛なんてしたい子だけがすればいい。恋愛も彼氏も今の私には必要ない。そもそも想いを打ち明けたところで、玉砕するのは目に見えている。あえて傷つく未来を選択する必要はない。
……とは言ったものの、恋愛というのは理屈で説明できないもの。恋を拒んだからといって恋に落ちないわけじゃないし、彼氏がほしいからといって恋ができるわけじゃない。そして一番厄介なのは、諦めようと思って諦められるものじゃないことだ。たとえ報われる見込みがない恋だとしても、一度宿った感情の火は、そう簡単に踏み消すことはできないから。
つくづく思う。恋愛ほど面倒な感情はないと。
「……いつから好きになっちゃったのかな」
記憶を遡ってみても、いつから、なんて明確な答えは出てこない。当然だ、答えが出るなら当に恋心を自覚できていたはず。今まで理不尽な恋ばかり経験してきた私には───……もう二度と不毛な恋愛をしたくないと思うばかりに、感情にセーブを掛けていたのかもしれない。彼は"推し"だの何だのと言い訳して、自分の気持ちから目を逸らし続けてきたんだ。