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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第3章 今更気付いてももう遅い
けれど今、はっきりと自覚した。胸の奥に秘める、先輩に抱く淡い想い。その現実を噛み締めながら瞳を閉じれば、目蓋の裏に浮かぶ先輩の姿。彼の顔はもともと好みだったけど、それ以前に私は、彼の柔和な笑顔が大好きだった。
常に微笑みを保っているような、優しい顔立ちが印象的。でも心の底から笑う時だけ、垂れた目尻に笑い皺を作る。そのくしゃっとした笑顔が本当に可愛くて、彼の笑顔を見たいが為に追っかけをする女性が後を絶たない。気持ちはわかる、あんなにイケメンなのに笑顔が可愛いって本当にズルすぎるもの。独り占めしたいと思うのも仕方ないかもしれない。
もちろん見た目もさることながら、先輩は性格も完璧だ。温和な性格で気遣い上手、誰に対しても分け隔てなく接することができる人。そんな彼の人柄に惹かれる人も多く、恋人というポジションを狙っている女性も多いと聞く。
私が入社した頃から彼は有名人で、だから松永圭という名前だけは知っていた。けれど私が当時属していたのは広報部、オフィス自体も離れていたこともあって、先輩と関わる機会なんてほとんどない。実際に話すようになったのは入社4年目、つまり今年。営業部署に配属されてからだ。
半年前のことを思い返してみる。松永先輩と初めて会話を交わしたのは、配属初日に開かれた歓迎会での夜のこと。会社近くにある小さな居酒屋に集まったメンバーは僅か6人。そのうちの1人が松永先輩だった。
常に微笑みを保っているような、優しい顔立ちが印象的。でも心の底から笑う時だけ、垂れた目尻に笑い皺を作る。そのくしゃっとした笑顔が本当に可愛くて、彼の笑顔を見たいが為に追っかけをする女性が後を絶たない。気持ちはわかる、あんなにイケメンなのに笑顔が可愛いって本当にズルすぎるもの。独り占めしたいと思うのも仕方ないかもしれない。
もちろん見た目もさることながら、先輩は性格も完璧だ。温和な性格で気遣い上手、誰に対しても分け隔てなく接することができる人。そんな彼の人柄に惹かれる人も多く、恋人というポジションを狙っている女性も多いと聞く。
私が入社した頃から彼は有名人で、だから松永圭という名前だけは知っていた。けれど私が当時属していたのは広報部、オフィス自体も離れていたこともあって、先輩と関わる機会なんてほとんどない。実際に話すようになったのは入社4年目、つまり今年。営業部署に配属されてからだ。
半年前のことを思い返してみる。松永先輩と初めて会話を交わしたのは、配属初日に開かれた歓迎会での夜のこと。会社近くにある小さな居酒屋に集まったメンバーは僅か6人。そのうちの1人が松永先輩だった。