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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第3章 今更気付いてももう遅い
「うわ、まじかー! りっちゃ……じゃなくて、椎名さんのお父さんってマジすごい人だったんだね! いいなー、俺もタワマンとかで贅沢な暮らししてみたいわー!」
「あはは……」
反応に困って適当に笑い流す。この手の話題は本当に苦手だ。藤堂さんも村山先輩も、もちろん他の人達も、別に悪気があって囃し立てているわけじゃないのはわかる。でもお金が絡む話は、容易く人の印象を壊してしまうのを私は知っていた。
一等地に住むタワマン住民、贅沢な暮らしぶり、金持ち夫婦の子供───私達の家族を見たことのない人達が、勝手な想像や憶測でいやらしい印象を植え付ける。妬みや嫉妬にまみれた眼差しを向けられることも、経験上少なくなかった。
「……あの、藤堂さん」
「ん、どした?」
「私、ちょっと酔ったみたいで。風当たりに外へ行ってきますね」
「え、大丈夫? 私ついていこうか?」
「いえ、大丈夫です。すぐに戻りますので!」
それだけ言い残して立ち上がる。まるでこの場から逃げ出すように、賑やかな雰囲気に包まれている個室部屋から飛び出した。
居心地の悪さに私のメンタルが耐えられそうにない。これ以上、両親の収入の話に触れてほしくなかったから。
「あはは……」
反応に困って適当に笑い流す。この手の話題は本当に苦手だ。藤堂さんも村山先輩も、もちろん他の人達も、別に悪気があって囃し立てているわけじゃないのはわかる。でもお金が絡む話は、容易く人の印象を壊してしまうのを私は知っていた。
一等地に住むタワマン住民、贅沢な暮らしぶり、金持ち夫婦の子供───私達の家族を見たことのない人達が、勝手な想像や憶測でいやらしい印象を植え付ける。妬みや嫉妬にまみれた眼差しを向けられることも、経験上少なくなかった。
「……あの、藤堂さん」
「ん、どした?」
「私、ちょっと酔ったみたいで。風当たりに外へ行ってきますね」
「え、大丈夫? 私ついていこうか?」
「いえ、大丈夫です。すぐに戻りますので!」
それだけ言い残して立ち上がる。まるでこの場から逃げ出すように、賑やかな雰囲気に包まれている個室部屋から飛び出した。
居心地の悪さに私のメンタルが耐えられそうにない。これ以上、両親の収入の話に触れてほしくなかったから。