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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第3章 今更気付いてももう遅い
周りは私の環境を恵まれていると言う。裕福な家庭に生まれ、タワマンに住み、欲しいものを与えられ、一般人が口にできないような高級食材を食べ、お小遣いも半端ない額なのだろうと勝手に決めつける。でも、それは違う。少なくとも私は真逆の生活を送っていたのだから。
経済的にゆとりのある家庭ほど、子供にお小遣いを与えないし普通の生活を大事にしてる。そこが世間の認識とズレているところであって、私が苦悩している部分でもあった。
「ご両親は、帝王学に近い考えの持ち主かもね」
遠くを眺めながら、先輩はゆったりと語り始めた。
「帝王学?」
「うん。今の日本には金銭教育がないでしょ。だから誰もお金の使い方を知らないし、そもそもお金は労働対価だと理解してない。テレビや書籍で見聞きした幻想を信じ込んで、お金に執着した人間が金銭価値を下げている。だから"誤解"も妬みも生まれた。"苦労もせずにお金を持っている"人間が羨ましいから」
「………」
「俺は妬まないよ」
「……え?」
月明かりに照らされる公園に、さあ……と花びらが夜風に揺れる。乱れる髪を手で押さえながら、私は隣に立つ先輩を見上げた。
経済的にゆとりのある家庭ほど、子供にお小遣いを与えないし普通の生活を大事にしてる。そこが世間の認識とズレているところであって、私が苦悩している部分でもあった。
「ご両親は、帝王学に近い考えの持ち主かもね」
遠くを眺めながら、先輩はゆったりと語り始めた。
「帝王学?」
「うん。今の日本には金銭教育がないでしょ。だから誰もお金の使い方を知らないし、そもそもお金は労働対価だと理解してない。テレビや書籍で見聞きした幻想を信じ込んで、お金に執着した人間が金銭価値を下げている。だから"誤解"も妬みも生まれた。"苦労もせずにお金を持っている"人間が羨ましいから」
「………」
「俺は妬まないよ」
「……え?」
月明かりに照らされる公園に、さあ……と花びらが夜風に揺れる。乱れる髪を手で押さえながら、私は隣に立つ先輩を見上げた。