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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第2章 私は推しが好きすぎる
周囲の音すら掻き消す勢いな降り方でも、先輩の沈んだ声音はちゃんと耳に届いていた。申し訳なさそうに頭を下げられて、私は慌てて首を振る。
「いえそんな、先輩のせいじゃないですよ!」
無理に付き合わせた───というのは、出張先での商談が終わった後に誘ってくれた、ディナーの件を言っているんだろう。でも仕事終わりに2人で食事に出掛けるのは、当初から予定に組み込まれていたことだ。
急なゲリラ豪雨に見舞われるなんて、彼にも予想できなかったこと。だから先輩を責める理由はないし、責めるつもりも毛頭ない。
「夕飯も美味しかったし、先輩から貴重なお話もたくさん聞けたし、私はすごく楽しかったです!」
「……そう? 楽しかった?」
「はい、とっても!」
満面の笑顔で彼に応える。それは嘘偽りない本心から出た言葉だ。
高校卒業後に今の会社に入社して、4年目を経てやっと、念願の営業部署へ人事異動を果たした私。配属されてから約半年、日々の業務自体は慣れてきたというものの、商談に関してはまだまだ知識不足で経験不足。でも、私はすごく恵まれていた方だ。実力と実績を兼ね揃えた、優秀な先輩達ばかりの環境に身を置いているのだから。
「いえそんな、先輩のせいじゃないですよ!」
無理に付き合わせた───というのは、出張先での商談が終わった後に誘ってくれた、ディナーの件を言っているんだろう。でも仕事終わりに2人で食事に出掛けるのは、当初から予定に組み込まれていたことだ。
急なゲリラ豪雨に見舞われるなんて、彼にも予想できなかったこと。だから先輩を責める理由はないし、責めるつもりも毛頭ない。
「夕飯も美味しかったし、先輩から貴重なお話もたくさん聞けたし、私はすごく楽しかったです!」
「……そう? 楽しかった?」
「はい、とっても!」
満面の笑顔で彼に応える。それは嘘偽りない本心から出た言葉だ。
高校卒業後に今の会社に入社して、4年目を経てやっと、念願の営業部署へ人事異動を果たした私。配属されてから約半年、日々の業務自体は慣れてきたというものの、商談に関してはまだまだ知識不足で経験不足。でも、私はすごく恵まれていた方だ。実力と実績を兼ね揃えた、優秀な先輩達ばかりの環境に身を置いているのだから。