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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第3章 今更気付いてももう遅い
 きっちり結んでいたはずのバスローブの紐が、僅かに緩んで火照った素肌を曝け出している。はだけた襟から覗く胸は、豊満とまではいかなくとも、平均並の膨らみが露出していた。隠れていたはずの両腿も、裾が盛大に捲れているせいで丸見えだ。
 立て続けに痴態を晒してしまい、身体がかあっと燃えるような恥ずかしさに見舞われる。慌てて身なりを整えたところで、この気まずい空気を払拭できるはずもなく。
「っ、色々すみません……!」
 居たたまれ無さすぎて俯く。雨が降ってからこんな調子で散々続きだ。こんな無様な格好を晒すことになるのなら、恥を忍んで父親に迎えに来てもらえばよかった。自責の念にとらわれる私に、先輩は控えめに笑う。
「いや……俺の方こそごめん」
「先輩が謝るのはおかしいです、悪いのは私でっ、」
「いや……それだけじゃなくて」
 はたり、と瞬きを落とす。彼の口振りから察するに、まだ話の続きがあるらしい。
 襟元をぎゅうっと握りしめながら先輩を見返していると、ふっと吐息混じりのため息をついて、先輩はベッドの端に腰を下ろした。
「……今さらなんだけど」
「……?」
「ごめんね、こんなところに誘っちゃって」
 こんなところ、というのは言わずもがな、このラブホのことを指していて。
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