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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第3章 今更気付いてももう遅い
「うん……でも、やっぱり村山のことも含めて謝らせて。変なこと言って、椎名さんを困らせてごめん」
 真剣な物言いは、彼の誠実さを表しているように思える。
「そんな……私は気にしてないですから。だからもう謝らないでください」
「……ありがとう。村山には明日、罰として高いランチを奢ってもらおうね」
「いい考えですね、そうしましょ!」
 先輩からの思わぬ提案に声が弾む。ふふっと互いにほくそ笑む様は、まるで悪巧みを企てている子供のよう。彼の機転のお陰で、和やかな雰囲気に包まれた空間。本人の承諾なしに決まった明日のランチに、私はさっそく思いを馳せる。
 明日は金曜日だ。私達のチームは基本的に、金曜日に外回りの営業をしない。先方の都合によっては社外に出ることもあるけれど、そんなイレギュラーな事態は経験上ほぼほぼない。だから週末前のランチは、先輩方とお供する機会が多かったりする。
 先輩と2人きりのディナーも楽しかったけど、チームのみんなと行くランチも、面白くて大好きな時間。松永先輩と村山先輩との昼食も、きっと大いに楽しめるはず。想像するだけで胸が小躍りしてしまう。
「あー……っと。じゃあ、寝る? お腹が空いたなら、何か食べてもいいけど」
 先輩の言葉に、私は緩く首を振った。
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