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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第2章 私は推しが好きすぎる
 全体的な雰囲気に加え、喋り方や笑い方まで爽やかなところが好印象。他の男性社員みたいな下品さはなく、男友達が多くてフットワークが軽い。釣りやキャンプが好きというアウトドア人間で、趣味を通じて同性の友人達と遊び尽くしているらしい。
 雰囲気イケメンってよく聞くようになった言葉だけど、まさにこの人がそんな感じだ。もちろん顔も然ることながら性格も格好いいし、老若男女問わず人気者の松永先輩。かくいう私も、彼を推している社員の1人だったりする。

 社会人になって初めて出来た、"推し"と呼べる憧れの存在。一言で推しと言っても、推しにも色々な形がある。顔が格好いいから"推し"、性格が好きだから"推し"、はたまた───恋愛感情を抱いているから"推し"。人によってその推し観は様々だ。
 私の場合は完全に前者。彼の顔が好みすぎるから、そんなミーハーな理由であって恋愛感情は一切ない。もとより私は恋愛に興味がなかった。いや───なくなった、と言うべきか。
 全く興味がないかといえば嘘になるけど、私みたいな地味な奴に、好意を寄せる男なんているはずがない。それは私が一番理解しているし、何より松永先輩の存在感が、恋愛への無関心に拍車を掛けている。
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