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第4章 闖入者

「…まあ…！
…なんて…なんて素晴らしい…！
こんなに綺麗な景色を見たことがありません…！」
凪子は大きな瞳を、更に見開く。

…眼下には夕陽に染められ、蜂蜜色に煌めく海がどこまでも広がっていた。

茜色に染まった空と、水平線の境が分からぬほどに、煌々しいグラデーションを帯びた美しい海が、そこにはあった。

潮風が凪子の髪を優しく撫でる。
背後から穏やかな声が答えた。

「…美しいでしょう。
海が夕陽に照らされ、刻一刻とその色を変えてゆくのです。
茜色、橙色、オレンジ色、ミモザ色、サフラン色…。
私の乏しい語彙では表し切れません。
今が1日の内で、もっとも美しい時間なのですよ」

…だから…

男の深い海の色の優しい瞳が凪子を見下ろした。

「…奥様にお見せしたかったのです…」
「…禅さん…」