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それが運命の恋ならば
第4章 闖入者
けれどすぐにその傲慢な想いを撤回する。
…嫉妬なんてされる訳、ないわね…。
…だって…。

地上の夫をじっと見下ろす。
膨れっ面の桃馬に何か軽口を叩きながら肩を叩いている。
その様子に嫉妬や焦りなど微塵もない。

…私のことを、憎んでいらっしゃるのだから…。
再び、哀しみの感情に支配される。

「…どうなさいました?奥様」
禅がそっと尋ねる。
「…いいえ。なんでもありません」
首を振る凪子に、禅が静かに告げた。

「…私と奥様がこうしていても旦那様が気になさらないのは、私が旦那様の影だからですよ。
先ほど申し上げたでしょう?」
…このひとは、私の心が読めるのだろうか…。
凪子は思わず息を呑んだ。
「…禅さん…」

禅は慈愛の表情で微笑んだ。
「それから、奥様が楽しそうにしておられるからです」

地上の李人に手を振ってみせ
「旦那様は奥様を本当に大切に思われているのですよ」

…そうして、独り言のように付け加えたのだ。

…ご自分でも、気づいてはいらっしゃらないかもしれませんが…。
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