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それが運命の恋ならば
第4章 闖入者
「へえ!兄貴がねえ…。
良いとこあるじゃん。
あ、これ最新のプロじゃん。すげ〜!」
学校から帰宅した桃馬が新しいスマートフォンを太陽に翳しながら驚いてみせた。
…中庭の東屋はどうやら桃馬の格好の隠れ家のようだ。
ベンチにはクッションやブランケット、漫画雑誌やポータブル音楽プレイヤーまで持ち込まれていた。
桃馬に誘われ、凪子もよく訪れるようになったのだ。
こじんまりした中庭は人の出入りも少なく、落ち着いてひと息吐ける場所でもあった。

「…あの…。
お高いものなのではないですか…?」
心配でおずおずと尋ねる。

桃馬は一笑に付した。
「気にしなくていいよ。
兄貴、金持ちなんだから。
…それよりさ、凪子ちゃん。
俺のケー番とメルアド登録していい?
あとLINE登録も」
「あ、はい。よろしくお願いいたします」
「やった!
毎日LINEすんね。
…てか、同じ家に住んでるのに、あんま会わないもんね」
二人は貌を見合わせて笑った。
「桃馬さん、朝食のお席にいらっしゃらないから…」
桃馬は肩を竦めてみせた。
「早起きできねえし。
そうじゃなくても遅刻ギリギリまで寝ててトキに叱られてるのにさ」
…朝メシ食う時間あったら寝てたいや…とボヤきながら…

「…あ」
桃馬が小さく声を上げた。

振り返る先に佇んでいたのは…。

「…凪子さん。こんにちは」
陽気な笑顔で微笑む間宮であった。

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