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それが運命の恋ならば
第4章 闖入者
「この間は桃馬さんが申し訳ありませんでした」
次の授業の終わりに、凪子は間宮に詫びた。
「…桃馬さんはすごく良い方なんですけれど、たまに反抗的なことを仰ってしまうんです」
桃馬は大好きな義弟だ。
…義弟というより、年下の友だち…のような気がする。
一之瀬家に嫁ぎ、李人の妻になり、初めてのことばかりの目まぐるしい毎日だった。
ともすれば、哀しみや悩みに暮れそうな毎日に、明るく人懐っこい桃馬の存在はどれだけ凪子の慰めになったか分からない。
だから、桃馬が悪い印象のまま、間宮に誤解されているのは嫌だったのだ。
テキストを閉じながら、間宮はにっこりと笑う。
「ちっとも気にしてませんよ。
…桃馬くんは貴女が好きなんですね。
貴女を見つめる眼が違いました」
凪子は驚き、慌てて首を振る。
「そんなことはありません。
桃馬さんは私に親切にして下さっているだけです」
「そうかな?
彼の眼は貴女に恋しているとしか思えないけれど…。
だから僕に敵意剥き出しなんじゃないかな?」
面白そうに言い募る間宮に、凪子は困ったように俯いた。
…そんな凪子を興味深そうに見つめ、やがて、いつもとは異なる…やや湿り気を帯びた声で、囁いた。
「…一之瀬先輩は本当に罪な人だ。
貴女のように可憐な花嫁にすら、あの悪趣味なゲームを続けるおつもりなのだから…」
不可解な言葉が理解できず、凪子は美しい眉を寄せた。
「…ゲーム…?…あの…それは…何のことでしょうか…?」
不意に間宮が皮肉めいた笑みを片頬に浮かべ、凪子の貌を無遠慮に、覗き込んだ。
「…ご存知ない筈はないでしょう。
貴女も一之瀬先輩の妻ならば…。
…先輩の退廃的な嗜好は、ご承知の筈だ」
…だから、僕が呼ばれたのでしょう。
そう冷ややかに笑いながら凪子の腕を引き寄せ、衝撃的な一言を言い放ったのだ。
「…一之瀬先輩は、愛するひとを他人に与えるのがお好きなのですよ」
次の授業の終わりに、凪子は間宮に詫びた。
「…桃馬さんはすごく良い方なんですけれど、たまに反抗的なことを仰ってしまうんです」
桃馬は大好きな義弟だ。
…義弟というより、年下の友だち…のような気がする。
一之瀬家に嫁ぎ、李人の妻になり、初めてのことばかりの目まぐるしい毎日だった。
ともすれば、哀しみや悩みに暮れそうな毎日に、明るく人懐っこい桃馬の存在はどれだけ凪子の慰めになったか分からない。
だから、桃馬が悪い印象のまま、間宮に誤解されているのは嫌だったのだ。
テキストを閉じながら、間宮はにっこりと笑う。
「ちっとも気にしてませんよ。
…桃馬くんは貴女が好きなんですね。
貴女を見つめる眼が違いました」
凪子は驚き、慌てて首を振る。
「そんなことはありません。
桃馬さんは私に親切にして下さっているだけです」
「そうかな?
彼の眼は貴女に恋しているとしか思えないけれど…。
だから僕に敵意剥き出しなんじゃないかな?」
面白そうに言い募る間宮に、凪子は困ったように俯いた。
…そんな凪子を興味深そうに見つめ、やがて、いつもとは異なる…やや湿り気を帯びた声で、囁いた。
「…一之瀬先輩は本当に罪な人だ。
貴女のように可憐な花嫁にすら、あの悪趣味なゲームを続けるおつもりなのだから…」
不可解な言葉が理解できず、凪子は美しい眉を寄せた。
「…ゲーム…?…あの…それは…何のことでしょうか…?」
不意に間宮が皮肉めいた笑みを片頬に浮かべ、凪子の貌を無遠慮に、覗き込んだ。
「…ご存知ない筈はないでしょう。
貴女も一之瀬先輩の妻ならば…。
…先輩の退廃的な嗜好は、ご承知の筈だ」
…だから、僕が呼ばれたのでしょう。
そう冷ややかに笑いながら凪子の腕を引き寄せ、衝撃的な一言を言い放ったのだ。
「…一之瀬先輩は、愛するひとを他人に与えるのがお好きなのですよ」