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それが運命の恋ならば
第1章 出逢い
「…李人様…!」
…信じられないような、思い遣りに満ちた言葉だった。
凪子は今まで雄大以外で、こんなにも優しい言葉をかけられたことはなかった。
しかも、李人は夫となるべく決められた人物だ。
凪子は思わず、感激に胸を詰まらせた。

「…そして…貴女にも…私を愛していただきたい。
…私のことを、少しずつ知っていただいて…。
焦らなくて良いのです…。
ここの生活にも、私の妻の立場にも、少しずつ慣れていただけたら良いのですから…」

「…李人様…」
安堵感が凪子の華奢な身体をじわりと押し包んだ。
…良かった…。
この方は…優しくて、思い遣りに満ちた、信頼できる方だった…。
私は、ここに安心して根を下ろして良いのだ…。

安堵の余り、足元がふらついた。

「…あ…っ…」
すかさず、男のしなやかで逞しい腕が凪子を抱き留める。

「大丈夫ですか?」
近くで貌を覗き込まれ、思わず頬を染める。

「…だ、大丈夫です…。
私…安心したら…力が抜けて…」
掠れる声で答えると、李人は小さく微笑った。

「…可愛いひとだ…」
…そのまま、優しく顎を捕らえられた。

「…可愛いくて…信じ難いほどに美しい…」
…唄うように、囁かれた。

…これで、やっと…

独り言のような呟きののち、睫毛が触れ合う距離まで引き寄せられた。

「…あ…」

驚きのあまり薄く開いた桜色の口唇を、李人は優しく…けれど大胆に奪っていった。

「…ああ…っ…ん…」

…それが口づけなのだと凪子が気づいたのは、暫くしてからのことだった。

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