この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
それが運命の恋ならば
第5章 真実の口
現れたのは、いつもの庭師の黒い作業服ではなく、洗い晒しのインディゴブルーのシャツにブラックジーンズ姿の禅であった。
普段きちりと束ねられている漆黒の黒髪は無造作に解かれ、肩に掛かっている。
李人とは真逆の野性味溢れた魅力が滲み出ている姿だ。
禅は店内を見渡し、凪子に気づくと柔らかな笑みを浮かべ、目礼した。
その眼差しが優しくて、一瞬どきりと胸が高鳴る。

「禅さあん!」
ケンがぴょんぴょん跳ねるように禅に走り寄る。
「トマトが枯れたとメールをいただいたので、様子を見に来ました」
「いやあ〜ん!わざわざ来てくれたの?嬉しい〜!
ありがとね!禅さん」
うっとりしたように禅を見上げるケンに優しく微笑む。
「今日は休みですから。
近くに用事もあったので…。
…どれですか?そのトマトは」
ケンが窓辺のプランターに禅をいざなう。
出窓に置かれているのはバジルやミントなど様々なプランターだ。
どうやらケンはベランダガーデナーらしい。

「これなの。フルーツミニトマト。
可愛いし色も綺麗だから買ったんだけど、すぐ枯れてきちゃって…。
病気かしら?」
禅がプランターの土や葉に触れて見て、すぐに答えた。
「…ああ、これは水のやり過ぎですね」
「水のやり過ぎ?」
「ええ。
トマトは元々アンデスのように雨量が少ないところが原産です。
だから水をやり過ぎると枯れてしまうんですよ」
「そうなの?」
「だから水は一日一回、陽が当たっている日中に土が湿る程度で充分です。
過保護にしない方が甘いトマトが実りますよ」

ケンが唸る。
「禅さんて、農作物にも詳しいのねえ」
「イギリスのプロガーデナーは家庭菜園の技術や知識もないといけないんです。
あちらで叩き込まれましたからね」
「…ステキ…惚れてしまいそう…」
うっとりとした眼差しはまさに乙女のそれだ。

桃馬が茶々を入れる。
「ケンちゃんは男前なら誰でもいいんだな。
さっきまでリーくんリーくん言ってたのにさ」

「うるさいわね!バカボン!」
桃馬を睨みつけ、禅には極上の笑顔を作ってみせた。

「禅さん!コーヒー飲んでいらして。
今、とびきり美味しいのを淹れるから」
/349ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ