この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
それが運命の恋ならば
第5章 真実の口
化粧も済み、そろそろ会場の庭園へとトキが促した時、ノックの音が聞こえた。

「…奥様。お客様がお見えになりました…」
黒い制服の女中の背後に立つその長身の青年の貌を見て、凪子は思わず叫んだ。

「雄ちゃん!」
「…凪子…」
…雄大はきちんと髪を撫で付け、ダークグレーの高価そうなスーツを身につけていた。
平服で構わないと伝えたのに…。
きっと凪子に恥をかかすまいと気を遣ったのだろうと胸が一杯になる。
けれど、大店の息子の雄大に、若いながらもそのスーツは良く似合っていると嬉しくもなった。


凪子はドレス姿のまま、雄大に駆け寄る。
その様子に側にいた女中が眼を丸くする。
「雄ちゃん!来てくれたのね!」
手を取る凪子を、雄大は眩しげに見つめた。
「…凪子…!
ずっと心配していたんやで。
なかなか手紙が来んかったから…」
…そうだったのだ。
最初の頃は、自分の出生の秘密や、李人に自分が憎まれていることなど、身に起こる事がらが衝撃が大きすぎて、手紙を出す余裕もなかったのだ。

「ごめんなさいね、雄ちゃん。
…私、雄ちゃんにすごく心配かけてしまったわね」
詫びる凪子に、雄大は優しく首を振った。
「ええんや。凪子が元気で幸せなら…」
…そして…
「…すごく綺麗や…。凪子…。
綺麗すぎて、息が止まるかと思うたわ…」
と、やや切なげに呟いた。
「…雄ちゃん…。ありがとう…」
少しはにかみながら雄大を見上げる。
凪子に見つめられ、雄大は照れたように慌てて話題を変えた。
「し、招待状をありがとな。
…あとさ、旦那からお金が送られてきたけど、交通費なんかな?
10万もやで。あんなに要らへんよ。
半分もかからんのにさ」
「…え?そんなに?」
思わず驚いている凪子の背後から、穏やかな美声が響いた。

「いいんですよ。ほんのお車代です。
こんな辺鄙なところまでわざわざ来てくださったのですから…」
「李人様…」
正装の上質な黒い燕尾服にホワイトタイ姿の李人が、優雅に手を差し出した。
「初めまして。大原さん。
一之瀬李人と申します」




/349ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ