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それが運命の恋ならば
第5章 真実の口
「きゃああ〜!凪子ちゃんキレイ〜!まるでシンデレラみたい!
それに、ステキなドレスね〜!グレースケリーが映画でこんな感じのクラシカルなドレスを着ていたわ!
…あら⁈いやああん!リーくん!ちょっと!何この燕尾は!反則よお!反則!カッコ良すぎる!なんてステキなの!色気ダダ漏れ!ちょ〜ちょ〜好きい〜!
…ああ!やっぱりアタシがお嫁に行きたいいい〜!」
庭園に出た二人を捕まえたのは、ケンの黄色い嬌声だった。

「…健。相変わらずだな」
李人は苦笑しながらも、朗らかに笑う。
「リーくん。おめでとう!今日はご招待ありがとうね!
…リーくんのために、アタシ、タキシード新調しちゃった!
見て見て!どお?似合う?似合う?」
…ショッキングピンクのタキシードの上下…。
蝶ネクタイは金色だ。

「ひでぇセンスだ」
隣の桃馬が呟く。
桃馬は渋々といった感じだが、それでも大人しく正装のテイルコート姿だ。
すらりとスタイルの良い、李人似の端正な貌にそれはとても良く似合っている。
招待客の若い女子たちがちらちらと桃馬を気にしているのが見える。

「…素敵だよ、健。
君は奇抜な色が良く似合うね」
ショッキングピンクのタキシード姿でクルクル回られても、少しも驚くことなく李人は微笑んだ。

「ああん!リーくんてば!そんな優しくしないで!
もう!アナタのこと、諦められなくなるじゃないのよお!」
健が我が身を抱きながら身悶える。

「…アホくさ」
隣にいた桃馬がフンと鼻を鳴らす。
そして、凪子を改めて眩しげに見つめた。
…白い古典的なドレス姿の凪子は、春の透明な光の中、奇跡のようにきらきらと輝き、オーラすら放っているように見える。

「…凪子ちゃん。
すごく綺麗だね。
…おめでとう…」
照れたように…少しだけ寂しげに、けれど率直な言葉で伝える。

「ありがとう。桃馬さん」
凪子は心から嬉しそうに笑った。

…そして、
「…あ、そうだわ。
桃馬さん、雄ちゃんを紹介するわね」

傍らに佇む、まだ若い長身の青年を振り返ったのだった。

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