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それが運命の恋ならば
第5章 真実の口
「…私の幼馴染みの大原雄大さん。
雄ちゃん、こちらは李人様の弟さんの桃馬さん。
私にとても親切にしてくださっているの」
凪子の紹介にその青年はにっこり笑い、桃馬に頭を下げた。

「初めまして。大原雄大です。
凪子がお世話になってます。
…凪子はこっちに誰も知り合いがおらんさかい、仲良くしてやってください」

関西訛りの実直そうな言葉は、好感が持てた。
…背の高いなかなかの男前だ。
まあ、自分の方が美形だけど。
と、桃馬は密かに思う。
桃馬は少し澄ましながら
「よろしく。
凪子ちゃんのことは心配しなくていいよ。
俺が必ず守るから」
そう宣言するように言い切り、凪子を見た。

「…桃馬さん…」
感激したように長い睫毛を瞬かせ、桃馬を見上げる凪子は、とても綺麗だけれど、自分の気持ちには多分気付いていない。
桃馬はそれをじんわりと切なく思う。

「そりゃ心強いなあ。
桃馬くん、ありがとうな」
屈託のない笑顔で、雄大は手を差し伸べてきた。
がっちりと握られた手はとても温かい。

「…凪子はずっと孤独で、とても苦労してきたんです。
ここに嫁に来て、幸せになってくれたんなら…俺は本望や。
…桃馬くん、凪子のことよろしゅう頼んだで」
その瞳には、強い意志と…微かな恋慕の色が滲んでいた。

…ああ、そうか。
こいつも俺の仲間か…。

桃馬は口元にいたずらっぽい笑みを浮かべ、思い切りその手に力を込めた。

「イテッ!」
雄大が呻く。

「任せとけって」
桃馬はにやりと笑ったのだった。
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