この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それが運命の恋ならば
第5章 真実の口
「いと。
久しぶりに会えたというのに、どうしたの?
そんな怖い貌をして…」
李人が柔らかな笑いを交えながら、けれどどこか警戒しているようなきらりと光る眼差しをいとに投げかけた。
大客間の深紅のモロッコ皮の長椅子に優雅に腰掛け長い脚を組む。
凪子にも隣に掛けるように優しく目配せをする。
凪子はおずおずと遠慮勝ちに腰掛けた。
…披露宴を終えた夜、大客間には、李人を始めとして、桃馬、凪子、そして禅が貌を揃えていた。
…まだ皆、正装の燕尾服のままの姿だ。
凪子は真珠色のイブニングドレスに着替えたばかりだった。
『…いとさんは、何をなさるおつもりなのでしょうか…』
トキは手早く凪子の支度を整えてくれながら、いとの出現にやや不安げな様子だった。
…宴のあと、全ての来客が退出したのを確認すると、いとのたっての希望で、一之瀬家の人々とトキ、そして禅はこの客間に集められたのだ。
雄大のことはケンが
『アタシが旅館まで送ってあげるわ!
…ユウダイくん、めっちゃタイプだわよお〜!』
と買って出てくれ、妙に生き生きしていた。
皆が集まったのを確認すると、いとは深々と李人に改めて頭を下げた。
「…李人様。ご無沙汰しておりました。
本日はご披露宴にご招待いただき、誠にありがとうございました。
…せっかくの良き日に、このような話をするいとをどうぞお許しくださいませ。
…けれどこれは全て李人様のため。
そして凪子様のためなのです」
久しぶりに会えたというのに、どうしたの?
そんな怖い貌をして…」
李人が柔らかな笑いを交えながら、けれどどこか警戒しているようなきらりと光る眼差しをいとに投げかけた。
大客間の深紅のモロッコ皮の長椅子に優雅に腰掛け長い脚を組む。
凪子にも隣に掛けるように優しく目配せをする。
凪子はおずおずと遠慮勝ちに腰掛けた。
…披露宴を終えた夜、大客間には、李人を始めとして、桃馬、凪子、そして禅が貌を揃えていた。
…まだ皆、正装の燕尾服のままの姿だ。
凪子は真珠色のイブニングドレスに着替えたばかりだった。
『…いとさんは、何をなさるおつもりなのでしょうか…』
トキは手早く凪子の支度を整えてくれながら、いとの出現にやや不安げな様子だった。
…宴のあと、全ての来客が退出したのを確認すると、いとのたっての希望で、一之瀬家の人々とトキ、そして禅はこの客間に集められたのだ。
雄大のことはケンが
『アタシが旅館まで送ってあげるわ!
…ユウダイくん、めっちゃタイプだわよお〜!』
と買って出てくれ、妙に生き生きしていた。
皆が集まったのを確認すると、いとは深々と李人に改めて頭を下げた。
「…李人様。ご無沙汰しておりました。
本日はご披露宴にご招待いただき、誠にありがとうございました。
…せっかくの良き日に、このような話をするいとをどうぞお許しくださいませ。
…けれどこれは全て李人様のため。
そして凪子様のためなのです」