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それが運命の恋ならば
第5章 真実の口
「え?何何?どゆこと?イミフなんですけど」
今まで固唾を呑んでいた桃馬が、訳が分からないという風に肩を竦める。
おちゃらけているように見えて、実は動揺しているのだ。
「…桃馬様…」
宥めるように禅が肩を抱く。

重苦しくも張り詰めた空気を打ち破ったのは、李人だった。
彼は可笑しくて堪らないようにくすくすと笑い出した。
その笑い声はいつまでも続いた。

「何を言い出すかと思えば…いと、お前はなぜそんな突飛な冗談を思いついたの?
…けれどそれはいささか悪趣味なジョークだな」

いとは李人を見つめ、慈しみのみが籠った声で告げた。

「…すべて、本当のことでございます」

笑い続けていた李人の表情が、静止する。

「…どういうことだ?」

「…雪乃様は、こちらに嫁がれる前、高遠様とお付き合いされておられました。
お二人は、ご結婚のお約束もされていたそうです」
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